Marketing

【要約】ラグジュアリー戦略 真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか

こんにちは、ウェルテック編集部です。

今回はマーケティング関連本要約シリーズ、

ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか

という総ページ数540ページ、5,280円と言うかなりボリュームのある本の紹介です。

なぜこの本を取り上げるか、と言うと、

【マーケティングを異なる視点から見ることができる】とても興味深い本だからです。

 

一般的なマーケティングであれば、多くの人に商品を買って欲しいというスタンスでPRします。

しかし、皆さんもご存知の高級バッグ、高級時計、などのいわゆるブランド品、

つまりラグジュアリーブランドの戦略は、独自性や排他性を保つために、限られたところ、限られた人にしか届かないように設計されます。

では、それはなぜか。ということを紐解いていくのが本書となります。

本書は、ラグジュアリーブランドに関わる人だけでなく、

ブランド戦略やマーケティングに興味のある人にも参考になる本です。

ラグジュアリーブランドの構築とマネジメントに必要な知識とツールを提供し、

ラグジュアリーの本質と特徴、ラグジュアリー戦略の具体的な方法と事例、ラグジュアリー戦略の展望と課題について、3部構成で詳しく解説しています。

マーケティングの名著ですので、この要約を読んで面白いと感じたら購入し何度も読み返すことをおすすめします。

では、早速ご紹介です。

 

まとめ:ラグジュアリーブランドの戦略とは何か

まずは、本書のまとめになります。

ラグジュアリーブランド、高級ブランドの戦略とは何か。というのが下記になります。

  • 高級ブランドとは、顧客に夢や感動を与えるブランドであり、その価値は製品やサービスの機能性や質だけでなく、芸術性や文化性、伝統性や希少性などの付加価値によって決まる 。
  • ブランドの独自性や排他性を保つために、一般的なマーケティングの法則とは逆の戦略を採るブランドであり、その戦略はブランドのビジョンやクリエイティビティに基づく 。
  • 社会的な役割や象徴的な意味を持つブランドであり、その役割や意味は時代や文化によって変化する 。

それでは、これらを念頭に、下記詳細を述べていきます。

 

「ラグジュアリー」ということについて

本書では、ラグジュアリーとは、人々が必要としないが欲しいと感じるもの、とされており、

それは、高品質、高価格、高付加価値、高感情的価値を持つものとしています。

加えて、社会的な地位や自己表現の手段として機能し、人々に夢や感動を与えます。

それゆえ、プレミアムやファッションとは異なるカテゴリーであり、独自の戦略を必要する、ということになります。

 

では、ラグジュアリーブランドにおける独自の戦略とは一体どのようなものでしょう。

ラグジュアリー戦略とは、従来型のマーケティングの規則を破り、ラグジュアリーブランドを構築するための戦略です。

それゆえ、顧客ニーズや市場調査に基づく製品開発や価格設定ではなく、

ブランドのビジョンやクリエイティビティに基づいて製品開発や価格設定を行います。

また、ブランドイメージやブランドエクイティを高めるために、限定性や排他性を保ち、

流通チャネルやコミュニケーションを厳選し、ブランド伸張やブランドポートフォリオを管理します。

 

そして、上述のような、あくまでもブランドの考え方に基づいて〜という視点と同時に必要なものが、常に変化する市場環境への対応です。

ラグジュアリー戦略は、新興国市場やインターネット市場などの新たな機会や課題に対応するために柔軟性と革新性を持つ必要があります。

私たちは、しばしば高級ブランドが行う革新的な取り組みを目にすることがあります。

例えば、高級ブランドによるVRでの取り組みや、NFTへの参入などですが、

ブランドの伝統文化を保ちながらもこのような斬新な取り組みも同時に行なっていくバランス感覚が求められるのではないでしょうか。

 

一般的なマーケティングの法則との違い

顧客の態度や行動を理解し、ブランドへの忠誠心や満足度を測定し、ブランドコミュニティを形成すること。

また、財務や人事においても、利益率や成長率だけでなく、ブランド価値やブランド文化を重視し、クオリティーやクラフトマンシップを維持するために適切な人材を確保することは、ブランド戦略において重要だといえます。

本書によると、上記に加えラグジュアリーブランドの戦略において、一般的なマーケティングの法則と異なる戦略を必要とする点は以下のようなものです。

・ラグジュアリーは、顧客のニーズや欲求を満たすだけでなく、夢や感動を与えるブランドであるため、市場調査やセグメンテーションに頼らず、ブランドのビジョンやクリエイティビティを重視する。

・ブランド価値を高めるためには、製品やサービスの質や機能性だけでなく、芸術性や文化性、伝統性や希少性などの付加価値を提供する。

・ブランドの独自性や排他性を保つためには、価格や流通チャネル、コミュニケーションなどの面で、一般的なマーケティングの法則とは逆の戦略を採る。

例えば、価格は需要に応じて下げずに高く設定し、流通チャネルは限定的に選択し、コミュニケーションは広告ではなくパブリシティや口コミに頼る。

という点が必要になってきます。

 

おわりに

ラグジュアリーブランドの戦略についての要約を大まかにみてきました。

確かにラグジュアリーブランドは、一般的なマーケティング法則とは違う側面を持ちますが、

取り扱う商品やサービスによっては、参考になる部分もあったのではないでしょうか。

商品開発においては、

市場調査を重視して顧客が欲しいものを届ける、いわばマーケットイン型と

自社がいいと思う商品を提供していくプロダクトアウト型というものがありますが、

ラグジュアリーブランドでは、どちらかといえばプロダクトアウト型に近く、

市場を把握はするものの、

自社ブランドの文化芸術というものをしっかり持ち提供する、という姿勢が伺われます。

そして、ここでいう文化芸術が、数ヶ月考えて構築したもの、

というレベルではなく数十年数百年単位で守り語り継がれていることが特筆する点です。

日々変化する市場、さらには社会情勢を理解し、表面的には変化しながら、

本質はブレないことを続けていく、

歴史の重さがラグジュアリーブランドであるとも言えるのではないでしょうか。

このラグジュアリー戦略は、欧州のトップ・ビジネススクールである仏HECの教授であるジャン=ノエル・カプフェレとヴァンサン・バスティアンが共著したもので、両者はラグジュアリー戦略における理論と実務の最強タッグといえます。

カプフェレ教授はブランドマネジメントの権威であり、バスティアン教授はルイ・ヴィトンやイヴ・サンローランなどのラグジュアリーブランドで経営者として活躍した経験があります。

彼らはラグジュアリー戦略に関する豊富な知識と実践的なノウハウを本書で分かりやすく伝えてくれます。

ぜひ、お手元に置いてそのエッセンスを確認してみてください。

 

 

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