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ムーンショット目標をわかりやすくいうと何?AIと共存する社会とは

こんにちは、ウェルテック編集部です。

今回は、内閣府が進める「ムーンショット目標」について、

なるべくわかりやすく、要約をしたいと思います。

 

「デジタル庁」「デジタルトランスフォーメーション」「2025年の崖」・・など、

デジタル化を伴った社会の変化が進められていることは以前にも述べました。

5年先から10年先、わたしたちの社会は今とは大きく変わっていきます。

それを証明するのにわかりやすいのは、スマホの登場ではないでしょうか。

みなさんは、初代iphoneの発売開始日をご存知ですか?

 

正解は・・2007年6月29日です。

 

そこからたったの10数年。凄まじい勢いで社会の構造は変わっていったわけです。

それでは、さらに20年、30年と進んでいくとき、わたしたちの身の回りはどのようになり、何が変わるのでしょう。

その将来ビジョンの一つがこの「ムーンショット目標」であるといえます。

政府、そして社会はどのようなビジョンを描いているのでしょうか。

「社会が向かう先」が予め分かっていれば、将来に向けて効率よく学ぶことができたり、

ビジネスチャンスを発見するきっかけになるかもしれません。

 

わかりやすくいうと?

早速、このムーンショット目標をわかりやすくいうと、

「人々の幸福」を目指すため、

基盤となる3つの領域(社会・環境・経済)での課題を解決する、7つの目標のことです。

そして、そのために失敗を許容しながら「破壊的イノベーションの創出」をしよう、ということになります。

 

つまり、困難ではあるが、実現したら社会的に大きなインパクトがあることに挑戦しよう、ということですね。

 

「ムーンショット」は、月に行って何かをする、という意味ではなく、

・魅力的、野心的な目標を掲げる

・世界中の研究者の英知を結集する

・困難な社会課題の解決を目指す

という挑戦的な研究開発制度のことで、

語源は、アメリカ大統領のジョン・F・ケネディの人類初の月面着陸、アポロ計画になぞらえたものだそうです。

 

具体的な特徴

では、ムーンショット目標の具体的な特徴はどのようなものがあるでしょう。

原文は以下のように述べています。

  1. 困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される社会課題等を対象とした野心的な目標及び構想を国が策定。
  2. 複数のプロジェクトを統括するPD(プロジェクトディレクター)の下に、国内外のトップ研究者をPM(プロジェクトマネージャー)として公募。
  3. 研究全体を俯瞰したポートフォリオを構築。「失敗を許容」しながら挑戦的な研究開発を推進。
  4. ステージゲートを設けてポートフォリオを柔軟に見直し、スピンアウトを奨励。 データ基盤を用いた最先端の研究支援システムを構築。
  5. 平成30年度補正予算で1,000億円を計上、基金を造成。令和元年度補正予算で 150億円を計上。最長で10年間支援。

ムーンショット目標は、先ほど述べたとおり、破壊的イノベーションを創出することにありますので、

その特徴はかなり柔軟であるということが挙げられます。

なぜなら、イノベーションを起こすために確実な方法というのはないので、まだ見ぬものを様々な試行錯誤の中から学んでいく必要があるからです。

そのため、ポートフォリオの見直しやスピンアウトが推奨されている点、

そして、予算もしっかりと確保しているので安心して取り組める点、が盛り込まれています。

 

7つの目標の詳細

ムーンショット目標は7つあります。

それぞれを具体的に見ていきます。

<目標1> 2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現

誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・ アバター基盤。

早速難しそうですが簡単にいうと、誰もが場所や能力の制約を超えて社会活動に参画できる技術を作っていくということです。

言い換えると、生活で必要な能力をアバターやロボットなどを活用、遠隔操作して手に入れる。

例えば、料理を作りたいからレシピと技術をダウンロードする、だとか、知らない場所にいった時に遠隔で操作されたコーディネーターのロボットが道案内をしてくれる、などアバターを活用し生活上で不可能なことをなくしていくこと、ともいえます。

 

<目標2> 2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現

2050年までに、これまで関係が注目されていなかった脳と腸などの臓器のつながりを利用して、認知症・がんなどの深刻な病気が起こる前に防ぐ技術を開発する。

これは、2030年までに、人の臓器間ネットワークを包括的に解明する、ということを前提に、もはや病気はすべて未然に防ぐ。ということの実現を目指しています。

 

<目標3> 2050年までに、 AIとロボットの共進化により、自ら学習・ 行動し人と共生するロボットを実現

2050年までに、人と同じ感性、同等以上の身体能力をもち、人生に寄り添って一緒に成長するAIロボットを開発。

ムーンショット目標を見るとロボットやAIというワードがかなり出てきますが、何か完成されたロボットを作る、というより、

ロボットもともに学習進化することで、自然科学を解明したり、人の活動の不自由な部分を補うことを目指しています。

 

<目標4> 2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現

2050年までに、大気中のCO2の直接回収・資源転換や、プラスチックごみの分解・無害化技術等を社会実装。

グリーン社会が叫ばれ始めていますが、持続可能な社会を作るため、

2030年までに、温室効果ガスに対する循環技術、そして環境汚染物質を有益な資源 に変換もしくは無害化する技術を開発することを目指します。

 

<目標5> 2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、 地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出

2050年までに、食料のムダを無くし、健康・環境に配慮した合理的な食料消費を促す解決法を開発する。

作物ができる土の中の微生物を解明することで、制御できるようにし、化学肥料の使わない食料を作る、

そして、作った食料の食品ロスをなくす、という食料生産と地球環境の保全を両立させることを目指します。

これは、2030年までに、上記システムのプロトタイプを開発・実証するとともに、倫理的・法的・社会的な議論を並行的に進めることにより、 2050年までにグローバルに普及させるというものです。

 

<目標6> 2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現

2050年までに、経済・産業・安全保障を 飛躍的に発展させる大規模で多用途な量子コンピュータ(既存のコンピュータと比べ、圧倒的な処理能力を持つとされます)を実現。

 

<目標7> 2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現

目標2で疾病の予防は述べましたが、さらに健康不安なく人生を楽しむ、というところに主眼をおいています。

日常生活の中で自然と予防ができ、なおかつ全ての生体トレンドを低負荷で把握・管理できる技術を開発。

また、世界中のどこにいても必要な医療にアクセスできるメディカルネットワークを実現させます。

 

おわりに

このムーンショット目標、やはりAIやロボットといったテクノロジーの発展がベースとして成り立っていることが伺えます。

特に、「サイバネティック・アバター基盤を作る」部分においては、映画「アバター」や「マトリックス 」のような世界観を想起させられます。

つまり、AIやロボットとの共生があって当然の社会がやってくるということです。

また、テクノロジーへの依存度が増していくにつれ考えなければならないのが、危機管理やバックアップ体制の確保です。

生体データという個人情報のかたまりが流出しないように、そしてアバターやロボットが乗っ取られないように対策すべきです。

こうした点から、デジタルトランスフォーメーション・地球環境保全・持続可能な社会・健康増進といったキーワードが今後注目される「基本」の部分であることがわかり、加えて、5G、6G、そして自動運転といった要素が組み合わされていきます。

2050年へ向け、すべての人がテクノロジーや新技術へのリテラシーを高めると同時に、受け入れて使いこなしていく姿勢がますます求められます。

 

映画アバター

映画マトリックス

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参考:

ムーンショット型研究開発制度(内閣府)

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